Bitter Love〜苦くて切ない恋〜

ごめんね

翌日。

あたしは久しぶりに、店にきた。

「いらっしゃ…」

突然やってきたあたしに、芯は動揺したように顔をこわばらせた。

こわばらせた芯の顔は、痩せていた。

痛いくらいに、痩せていた。

あたしは、カウンターに座った。

何にもなかった風に装い、お酒の用意をする芯に、
「…痩せたね」
と、声をかけた。

芯は微笑むと、
「最近、躰鍛えてるんだ」
と、わざとらしいような明るい声で言った。

ウソついていることくらい、わかっていた。

本当は、あたしのせいなんだよね。

お酒の用意をする芯の、痩せた顔を見ながら、
「中沢さんと、別れることにした」
と、あたしは言った。

「えっ?」

用意する手を止め、芯があたしを見る。

「今日、言うんだ」

泣き出しそうになる目を閉じると、
「“さようなら”って」

沈黙。

先に破ったのは、芯の方からだった。

「…何で?」

驚いたと言うような、かすれた声だった。
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