Bitter Love〜苦くて切ない恋〜
「雪ちゃんにとって、中沢さんは本当に本気で愛した人だから、忘れられないことくらい、わかってる」

まっすぐに、芯があたしを見つめた。

涙のせいかも知れないけど、芯の目には光があふれていた。

「それでも俺は、待つよ。

中沢さんのこと忘れるまで、待つよ」

ポロッと芯の目から、また新しい涙がこぼれた。

「雪ちゃんは、俺の大事なお客様であって、大事な人だから」

あたしの頬にも、涙が流れる。

「…ありがと…芯…」

涙のせいで声が濡れていたけど、あたしは芯に言った。

芯は微笑むと、ハンカチを差し出した。

「その顔、中沢さんに見せたら、大笑いされるぞ」

久しぶりに聞く、芯の憎まれ口。

聞けたのが嬉しくて、またあたしは泣いてしまった。

「泣くなよ〜。

どうせなら中沢さんの前で泣け。

慰謝料請求できっぞ」

何て言って、あたしを笑わせようとする芯。

いつもはビンタしたいぐらい腹立たしいのに、今はすごく嬉しい。
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