永遠にきみに


夏木は面倒くさそうに、あたしをチラッと見て、聞き取れるかどうかギリギリくらいの、小さな声で呟いた。

「………今日」
「え?」

思わず聞き返す。

ちょっと半笑いになってしまった。

だって今日とかありえないよね?


「今日だっつってんだろ」

気まずそうに言う夏木に、あたしは絶叫してしまう。

「ええー!!!??」
「うっせーなお前」
「何やってんの!?早く帰んなよ、お祝いは!?」
「お祝いって何だよ」

あたしは立ち上がって、寝転んだままの夏木を起こそうとする。

夏木は眉を寄せて、不機嫌そうにした。

「いや、だから…ケーキとか、よくわかんないけど、プレゼントとか、するんじゃ…ない?」

あたしは、誕生日のお祝いなんてしてもらったことないけど、とりあえず想像で言ってみた。



「誕生日がめでたいもんだとは限らないだろ」



ぞっとするほど低い声で、夏木が言った。

起こそうと掴んでいたあたしの腕を、振り払う。

あたしは固まってしまって、言葉が出てこなかった。


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