FAKE‐LAKE
「すごーい! 妖精だって!」
 興奮気味な末っ子リルに、二番目の妹ティラが呆れたように言う。
「いるわけないじゃん、そんなの。作り話、作り話」
 もう、お姉ちゃんきらい、とリルは頬を膨らます。
「リルはお伽話好きだもんねぇ」
 と笑うのはニールのすぐ下の妹レナ。姉二人に夢を否定されたリルはニールに縋り付いた。
「ね、お兄ちゃんは信じてるでしょ?」
 リルにうるうるした目で見上げられ、ニールは答えに困った。
 正直、いるわけないと思う。思うけど。
「うん、いるかもしれないね」
 末っ子の目力に負けた。つい、リルの事は甘やかしてしまう。
「ほらね、お兄ちゃんはリルの味方だもん」
 笑う二人の姉に向かって威張るリル。しかしお兄ちゃんが味方じゃねぇとあっさり笑いとばされた。
「リル、続き読むよ?」
 姉二人にからかわれて泣きそうな末っ子を膝に載せ、ニールは続きを読んだ。
『実際にその姿を見た人はほとんどいないと言います。
 ただ稀に、人前に姿を現す時があるとか。そして“彼”を見る事の出来た人は必ず幸せになると言い伝えられています。
 水色の髪に黄緑色の瞳……まさに湖の妖精という風貌ですね。
 もしかしたら“彼”に出会えるのは、自然を大切にし毎日一生懸命働いている貴方かもしれませんよ?』
「お兄ちゃん! リル、明日から真面目にお家の手伝いするね!」
 妖精伝説を本気で信じているらしく、リルは力強くお手伝い宣言をした。
「お、偉いなぁリル。そのうち妖精さんが会いに来てくれるかも知れないぞ」
 ニールのおだてに、リルは顔中笑顔にして頷く。
 どこそこが痛いだなんだと言い訳して手伝いをサボりまくっていたリルをここまで動かす妖精効果。それだけですごい。いてもいなくても。
「いつまで続く事やら」
 ティラとレナは笑いながらカーテンの向こうに戻っていった。
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