FAKE‐LAKE
この屋敷でセティに会い、兄といるような安心感を感じた。少し変わり者だけれど。

純粋で優しいリーナに恋心を抱き、いらないと思っていた幸せに手を伸ばしたくなったりもした。足を洗おうと何度も思った。

その度に蘇る兄を殺された悲しみ。殺した奴らに対する憎しみ。行き場を無くした感情が、彼を盗みに駆り立てる。

「俺は、どうしたらいい……?」

涙はとうに凍り付いてしまった。そして簡単に解けそうも無い。

「教えてくれ……誰か……」

胸が潰れそうな苦しさに思わず呟いたSOSを、扉の向こうでリーナが聞いていた事にアツキは気付かなかった。





「はい、計画通りに進めております。……いえ、まだそこまでは……はい」

セティは緊張した面持ちで通話相手と話していた。全神経を相手の言葉に集中させて。

「了解しました。はい、このまま進めます。……はい、必ず」

小さく息をついて電話を切った。

途端、すぐに二番に着信が。セティは深呼吸し、受話器を取った。


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