FAKE‐LAKE
「はい、……これは博士、ご連絡ありがとうございます。……明日ですね。分かりました……はい」

セティは近くのメモ用紙を引っ張り、何やら書き付ける。

「勿論です。……はい、よろしくお願いします」

丁寧に挨拶をし、電話が切れた事を確認して受話器を置いた。

しばらく机に突っ伏して、一気に殺到してきた情報を頭の中で整理する。自室の本棚と同じように全てをきちんと分類した後、セティは教授に電話をかけた。

「教授、セトナです。昨日診察に行きました。……ええ、身長が伸びましたよ。食事も以前より食べているようですし、薬もきちんと飲んでいます」

ただ、とセティは声をひそめた。

鞄からセロハンの袋を取り出し、走り書きしたメモの上に置く。中には一本の糸屑らしき物が入っている。ただの細い白糸に見えるそれは、紙の白の上で微かな水色を呈していた。

「最近、アンジェ以外に人の気配がします。……いえ、聞いていません。アンジェは隠しているようですが、気になる物を見つけまして……注意が必要かと」

教授に報告をしながら、セティは続けて取り出したファイルを開いた。ウィリス・フロスト博士から渡されたそのファイルには“テスト”の経過と実験体の名前が書かれていた。

『R:AL-M ――レイ』


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