FAKE‐LAKE
 普通……?
 ニールは怪訝そうにアンジェを見た。アンジェはすっと目を逸らす。
 伏し目がちな彼の表情からは何も読み取れない。何を考えているのか全く分からない。
「それにアンバーさんの方が年上でしょう?」
 まあそうだ。納得するようにニールは頷いた。
「敬語だと特別扱いされてるみたいで嫌なんです」
 変ですか、僕。
 そう尋ねた時のアンジェの瞳がものすごく悲しそうで。
 ニールは思わずアンジェの手を両手で握りしめていた。
「全ッ然変なんかじゃないです! いや、変じゃない!」
 ニールの声が思わず声が大きくなり、アンジェは驚いて身を竦める。
「おれもアンジェさ……いやアンジェと友達になりたいってずっと思ってたんだ」
 ニールの言葉と真剣さに、アンジェの瞳が少しだけ、ほんの少しだけ潤んだ。
「アンバーさんは、僕の初めての友達ですね」
 あ、でも友達よりはお兄さんて感じかな、とアンジェは微笑んだ。
「ニール、でいいよ。お互い敬語抜きでいこう。そのほうが友達っぽい」
 決まり、と明るく言うニールにアンジェはちょっと戸惑う。
「年上なのに」
「友情に年上も年下もないさ」
 カッコつけて言うニールの口調に、屋根裏からコトリと音が聞こえた。アンジェは内心ヒヤリとする。
「嬉しいなぁ。おれ、近くに年上の人しかいなくてさ。同じくらいの歳の友達、おれも初めてだ」
 興奮気味のニールに音が聞こえていないと知り、アンジェはほっとした。
「あ、それで地図の事なんですが」
「敬語」
 速攻でニールに指摘される。
「地図、なんだけど」
 言い直し、アンジェは照れたように笑った。
< 104 / 426 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop