FAKE‐LAKE
 それから少しの間ニールに地図を説明してもらい、自分がいる国がリアレスクだという事と、対岸の街はロスタナの主要都市だという事が分かった。
 リアレスクが、そしてロスタナがどんな国かかいつまんで教えてもらう。
 打てば響くように答えるニールの物知りな所に、アンジェはひたすら感動していた。
 ニールはアンジェと友達のように話せる事が心底嬉しかった。つい話が弾み、気がつけば日が陰り始めている。
「じゃ続きは来週に。それまで絶対無理しないで体調良くしときなよ」
 心配だから、とニールは心を込めて言う。本当に心配だ。笑顔は戻ったが顔色は悪い。
「うん、分かった。ニールも帰り気をつけてね」
 アンジェが外まで見送りに行くと言うのを宥めて寝かしつけ、ニールは一人アンジェの家を出た。
 風が冷たい。でも嬉しい事があったせいで寒さは感じなかった。
「初めての友達、か」
 頭の片隅で親方の声がしたけれど、人懐っこいニールの性格は忠告に従うよりアンジェの笑顔を選んだ。
「あ、そうだアンジェにあの話してあげようと思ってたんだ」
 帰り道を半分過ぎたあたりでニールは気が付いた。
 湖の妖精の話。もしかしたらアンジェはもう会った事があるかもしれないな。
「……ま、いっか。また来週会えるんだ」
 薄暗い黄昏れの道を、ニールは鼻歌を歌いながら下りていった。


「だってあのお兄さん可笑しくて可笑しくて」
 屋根裏部屋から下りてきたレイは、笑いながらそう弁解した。
「そんなに可笑しい?」
 大分調子が良くなってきたアンジェは、ニールの話をしながら笑いつづけるレイを不思議そうに見ながら夕飯を作りはじめた。
 ニールはあれで普通だと思うんだけどな。もっとすごいリアクションの時もあったし。
「なんか、お兄さんのテンションとアンジェのテンション違い過ぎて」
 笑い過ぎて涙出る、と言ってレイはソファーに倒れ込んだ。
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