FAKE‐LAKE


「また背が伸びたね」
 次の日、月に一度の検診に来た医師はアンジェを見て目を細めた。
「本当に追い越されそうだな」
 笑顔の医師を見上げ、アンジェは曖昧に微笑む。記憶が戻った当時は調子が悪かったが、今ではすっかり回復していた。
「君は素直で言われた事をきちんと守るから大分よくなってきてるよ」
 珍しく医師が病気の状態について触れた。
 アンジェは小さく笑みを返しただけで、あえてそれ以上聞こうとはしなかった。この間の医師の鋭い眼差しを忘れてはいない。
 診察を終え、ゆっくり体を起こすアンジェに医師は唐突に尋ねてきた。
「ああ、お友達は元気かい?」
 一瞬、空気が凍る。
「……元気ですよ」
 アンジェは綺麗な笑顔を浮かべて答える。
「最近いろんな国の話をしてくれるんです。週に一度配達に来てくれる時に」
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