FAKE‐LAKE
 医師が帰った後、アンジェはどっと体の力が抜けてソファーに倒れ込んだ。
 何なんだ。先生は何かを知っているのか?
 レイの事。自分の過去。博士がレイを追っていること。自分も博士の道具だということ。
 謎だらけで頭がくらくらする。一体あの人は何者なんだろう?
 彼はリアレスクの医師? それとも博士とつながりがある医師?
 何処から来て何のために僕を診察している? 本当に病気を診ているだけ?
 自分たちの知らない所でどんな動きがあるのか。どこまで博士の影が迫って来ているのか。答えが見えない。見当もつかない。
 夕闇の中に一人で放り出されたような不安を感じ、アンジェは身震いした。
「……そうだ、レイ」
 慌てて屋根裏部屋に上がる。レイはどうしているだろう。
「レイ」
 膨らんだ毛布の下にレイは隠れていた。いつもならすぐに下りてくるのに。
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