FAKE‐LAKE
「そうだ。Aは腕に特殊な機械を埋め込んだ後天的な開発作品なんだ。上手く行っていたのだけどな」

博士の目に苛立ちが浮かぶ。

「あと少しの所で裏切られたんだ。当時の助手に」

セティは驚きを隠せない、と言う口調で言った。

「博士と研究させて頂きながら裏切るとは、何と恩知らずな」

少々大げさなセティの反応に博士は気を良くしたらしい。表情を緩ませて続けた。

「Aは奴が連れ去ったんだ。大方情が移ったんだろう。奴の行方も未だ分からない。……もう十年位経つか」

「そんなに」

「あれは一番利用価値のある作品だ。素直でこちらの言う事を聞く性格でな。今も捜索中だ」

表立って捜せないのが難点だ、と低く呟き、博士は窓の外を見る。

博士のこの『研究』の意図はどこにあるのだろう。セティは博士の視線の先を探るようにその横顔を見つめた。

それは野心か、それとも飽くなき探究心なのか。

獲物を狙う獣のような目をした博士は、独り言のように決意を口にした。

「必ず見つけ出す。奴も……アンジェも」

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