FAKE‐LAKE
レイはきょとんとアンジェを見つめた。

ゆっくり立ち上がり、アンジェは窓枠に置いたガラスのカケラを手に取る。

「見てて」

左手にガラスを持ち、アンジェはロフトを支える柱に目をやった。

長い指がカケラを弾く。

弾丸のような速さで弾かれたガラスの破片は木目の柱に勢いよく食い込んだ。

「……なっ」

レイは驚いて目を見開いた。アンジェの左手と柱を交互に見比べる。

「さすが機械、まだ鈍ってないみたいだ。鉄片ならもっと威力あるらしいんだけど」

明るい茶色の柱に刺さった碧色のガラスを眺めながら、アンジェは話し出した。

「話してなかったね。僕も博士の“道具”だったんだ」

完成品じゃなさそうだけどね、と淡々とした口調で話すアンジェを、レイは瞬きする事も忘れて見ていた。

「ここに」

アンジェは左腕の袖をめくる。

「レイの腕と同じ印があった。……小さい頃に」

誰が消してくれたのか知らないんだけど。

そう言ってアンジェは左手と右手を並べて見せた。


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