FAKE‐LAKE
『怖い、夢、見た』
 レイの泣き声が頭の中で繰り返される。
 怖い夢、か。それは多分――
「……アンジェ」
 アンジェがふと漏らした小さな溜息に反応するように、レイが囁き声で言った。
「ごめんね、アンジェ」
「……」
 何が、と聞きたいのに口が動かない。なのに他の言葉が浮かばない。
「迷惑かけて、ごめん」
 そう謝った後、少しためらいがちにレイは言葉を続けた。
「僕……僕、ね……」
 レイの体がまた震え始めたのを感じ、アンジェは水色の柔らかい髪をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でた。
「な」
 驚いて起き上がるレイにアンジェは笑いかける。
「そんなに無理して話さなくていいよ。話せるようになってからでいい。レイが居る事、全然迷惑じゃないから」
 雲の切れ間から僅かに月明かりが差し込み、レイの頬を伝う涙をきらりと光らせた。
「ね?」
 アンジェの笑顔にほっとした表情を見せ、レイはこくりと頷く。
「ありがとう」
 そしてアンジェの横にもう一度潜り込んだ。
「……あったかい」
 レイの、心底安心したような囁き声。
「人って、あったかいんだね」
 くす、と笑ってアンジェは答える。
「そうだね」
「……知らなかった」
 ぽつりとこぼれたレイの言葉は、少しだけ寂しそうな色をしていた。
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