FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「アンジェ入るぞー」
木々に囲まれぽつんと建っている家に、荷物を抱えたニールが入って行く。
開いた扉の隙間から嬉しそうなレイの笑顔が覗いた。
「……間違いないな」
窓から見える三人の姿を、離れた木々の陰から確認する二つの影。金髪の男が低い声で言う。
「道を覚えたか」
「ああ」
短く返事をする褐色の肌をした背のちいさな男は、帰ろうと背を向けたシアナを見て不思議そうな顔をした。
「今捕まえないのか?」
「ああ。一度で済ませたほうが人目につかない」
振り返ったシアナは、窓辺に並ぶ鉢植えに水をやっているアンジェを冷淡な表情で見つめる。
「少し調べる事もあるし、目立たないための細工も必要だからな」
「へぇ」
足早に立ち去るシアナの後を追いながら、男は感心したふうな声をだした。
「あんた本当に頭いいよな。俺、方向感覚は自信あるけど頭は悪いからさ。尊敬するよ」
心のこもったその褒め言葉に、シアナは微かに口端をあげただけで反応しない。
頭はいいけど暗いよな。けもの道に悪戦苦闘しながら男はこっそり呟いた。