FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「あの、すみません!」
翌週の月曜、いつものようにニールがアンジェの配達に向かっていると、森の入口辺りで白衣姿の青年に後ろから呼び止められた。
「……なんすか?」
普段人の行き来がない場所に突然現れた見知らぬ人間をニールは訝しげに睨む。
「あの、アンジェさんの家に配達しておられる方ですよね?」
「……」
無言で肯定しているニールの表情を見て、茶髪の青年はぺこりと頭を下げた。
「私、アンジェさんの担当医に頼まれて薬の交換をお願いにきました」
一歩遅くて間に合わないかと思いました、と気さくに笑う青年の人懐っこい笑顔に、ニールは警戒していた表情を緩めた。