FAKE‐LAKE
『僕は今、最高に幸せなんだ』
 ふと、レイの笑顔を思い出した。あの笑顔を奪う権利が一体誰にあったと言うのだろう。
 次第に怒りが込み上げて来て、アンジェの手が震えた。
 レイを虐待している博士に対する怒り。信頼を裏切ったおじさんに対する怒り、何かを隠しているニールに対する怒り。
 何よりレイを守れなかった自分に対する深い怒りが、徐々にアンジェを狂気へと引きずりこんでいく。
「……向こうが来ないのなら、こっちから乗り込むか」
 遠い木々の間に不自然な影を見つけてアンジェは低く呟いた。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


 息がしやすい。空気が綺麗なのかな。
 レイは大きく深呼吸した。まだ少し脇腹が痛い。でも体は驚く程楽になった。お腹、空いたな。
 ゆっくり起き上がろうとして何かに額をぶつけた。そして気がつく。
 昨日と景色が違う。レイは辺りを見回した。
 ベッドの上ではなく、筒状のカプセルの中に寝かされている。ぶつけたのはカプセルの水色がかった透明の分厚いガラスだった。
 両手足を鎖で繋がれてはいるが、どこかに縛り付けられてはいない。ある程度自由に動けそうだ。
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