FAKE‐LAKE
「?」
首を傾げてレイは自分の頭をぽふぽふと触った。手を上下させるたび、ぱちぱちと音がする。静電気にくせっ毛で柔らかい髪質も手伝って水色の髪が顔中に貼り付き、しかもてっぺんが湯気のように立ち上がっている。
あはは、と声を出して笑うアンジェに、レイは拗ねたようにぷぅとふくれてみせた。
「顔洗っといでよ。朝ご飯準備するから」
朝ご飯、と聞いた途端レイは目を輝かせ、元気に部屋から飛び出して行く。
無邪気な笑顔に、ふと昨日の泣き顔を思い出した。
『怖い、夢、見た』
その夢がどんな内容かはわからないけれど、おそらくレイが経験してきた事と関係があるのだろう。
アンジェは一つ大きな溜息をついた。
どうかこのまま……。
落ち着かない髪と悪戦苦闘しているレイを横目で見ながら、心の中で願う。
このまま、笑顔でいてくれたら。笑顔でいられたら。
このまま、何も起こらずに、過去も傷もなにもかも思い出さずにいられたら……。
心の奥にある小さな不安に反応したのか、わずかに疼く左腕をアンジェはなだめるように押さえた。
三十分ほどで朝食の準備が出来、二人は向かい合ってテーブルに着いた。
「いっただきまーす!」
元気な声が光の粒のように食卓で弾けた。トーストとサラダ、スープといったごく普通の食事がとびきり美味しく感じられるのは、この笑顔のおかげだとアンジェは思う。
これ何? と、蜂蜜の瓶を眺めるレイに、アンジェはニールから聞いた説明をそのまま復唱した。
「きっとレイは気に入ると思うよ」
アンジェの予想通り、レイは蜂蜜の味に大感激した。
ニールの言う『美味しい食べ方』――パンにバターを塗ってその上に均一に塗るというだけだが――が気に入ったらしく、一口食べるごとに幸せそうな顔をする。
首を傾げてレイは自分の頭をぽふぽふと触った。手を上下させるたび、ぱちぱちと音がする。静電気にくせっ毛で柔らかい髪質も手伝って水色の髪が顔中に貼り付き、しかもてっぺんが湯気のように立ち上がっている。
あはは、と声を出して笑うアンジェに、レイは拗ねたようにぷぅとふくれてみせた。
「顔洗っといでよ。朝ご飯準備するから」
朝ご飯、と聞いた途端レイは目を輝かせ、元気に部屋から飛び出して行く。
無邪気な笑顔に、ふと昨日の泣き顔を思い出した。
『怖い、夢、見た』
その夢がどんな内容かはわからないけれど、おそらくレイが経験してきた事と関係があるのだろう。
アンジェは一つ大きな溜息をついた。
どうかこのまま……。
落ち着かない髪と悪戦苦闘しているレイを横目で見ながら、心の中で願う。
このまま、笑顔でいてくれたら。笑顔でいられたら。
このまま、何も起こらずに、過去も傷もなにもかも思い出さずにいられたら……。
心の奥にある小さな不安に反応したのか、わずかに疼く左腕をアンジェはなだめるように押さえた。
三十分ほどで朝食の準備が出来、二人は向かい合ってテーブルに着いた。
「いっただきまーす!」
元気な声が光の粒のように食卓で弾けた。トーストとサラダ、スープといったごく普通の食事がとびきり美味しく感じられるのは、この笑顔のおかげだとアンジェは思う。
これ何? と、蜂蜜の瓶を眺めるレイに、アンジェはニールから聞いた説明をそのまま復唱した。
「きっとレイは気に入ると思うよ」
アンジェの予想通り、レイは蜂蜜の味に大感激した。
ニールの言う『美味しい食べ方』――パンにバターを塗ってその上に均一に塗るというだけだが――が気に入ったらしく、一口食べるごとに幸せそうな顔をする。