FAKE‐LAKE
腕に触れた瞬間、はっとした。

胸の中に、あの冷たさ――あえて言葉にするなら“不安”――が黒く重く広がっていく。

“コワイ、ユメ、ミタ”

どこかで聞いた気がする、レイが口にした言葉――

アンジェは思わず、袖を軽く掴んでいるレイの手を握った。

温かい、小さな手。その温もりに、冷たい“不安”が徐々に溶かされていくような気がして、アンジェはゆっくり息を吐いた。

『人って、あったかい』

レイの言葉を思い出す。

独りの時には感じなかった、そして知らなかった温かさ。

「……あったかい」

風が木の葉を煽り、雨音を揺らす。黒い雲が月光をさえぎる。

しかし、手の中に包み込んだ小さな温もりがくれた安心感は大きかった。

いつのまにか、アンジェは穏やかな眠りに落ちていた。


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