FAKE‐LAKE
「しかも女性にもモテモテなくせにさっ」

そう言って、ニールはテーブルの上に封筒の束を乱暴に置いた。ニールいわく、アンジェ宛のラブレターだ。

「お前の絵を市場で売ってる間、何人の美人にお前の事聞かれた事か。アレンさんって幾つですかとか、アレンさんて恋人いますかとかさ」

『アレン・ウェッジウッド』はアンジェのペンネーム。考えたのはニールだ。

アンジェには言わないが、三人――アンジェとレイ、そして自分――の頭文字をとった名前で結構気に入っている。

「そのうえ、モテてるくせに誰とも付き合おうとしないし。せめておれの嫁さんにくらいなれってんだ」

ニールはわざと音を立ててスープを飲む。彼の無茶苦茶な言い分に、アンジェはつらっとした笑顔で答えた。

「それさ、僕じゃなくて僕の絵がモテてるだけでしょ」

「同じ事だろ! ったく、ムカつくなぁ」

アンジェは封筒を受け取って楽しそうに笑った。

ニールはラブレターだと言うが、中には絵に対する感想や感謝の手紙もあり、アンジェはもらった手紙一つ一つを大切にとっておいている。


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