FAKE‐LAKE
しばらく沈黙が続いた。セティがキーボードを叩く音が静かな部屋に響く。

「なあ」

黙って間取りを見ながら考えこんでいたアツキが、ふと口を開いた。

「セティ。一つ聞いてもいいか」

「ああ」

画面から目を上げてセティはアツキの質問を待つ。

「どうしてセティはあいつのためにここまでするんだ」

予想と違う問いに、セティは少し考えた。眼鏡を外し、ファイルに視線を落として答える。

「この世に生まれてきたいきさつがどうであれ、“人”である事に変わりないだろ。俺一人ちっぽけな奴が、世の中の人間みんなを幸せにはしてやれない。なら自分が助けられる範囲で手を差し延べたいと思っただけさ」

ふ、と軽く笑って続けた。

「ま、所詮綺麗事なんだろうけどな」

「でも俺、セティのそういう所好きだぜ」

アツキは身を乗り出して言う。尊敬の念すら感じる彼の黒い瞳に照れたのか、セティはアツキの額を軽く突いた。


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