FAKE‐LAKE
研究室のガラスは特殊らしく、何をしても割れなかった。

時間が無い。焦りが二人を追い詰める。

不意にシアナは立ち上がり、アツキに言った。

「踏み込まれた時は俺が何とかする。ウェルズリー氏は助けてもらえるよう上手く演じるから、お前は奴らの隙をついてレイを連れて逃げろ」

「でもそれじゃあんたが捕まるだろ」

シアナは暗闇の中、慣れてきた目と勘を頼りに博士が使っていた銃を探す。

悪役を買って出てセティを助け、アツキとレイを逃がす筋書きが彼の中に瞬時に出来ていた。

「おい、自爆する気かよ」

「しなくて済むかもしれないだろ。わずかな可能性に賭けるさ」

「そんな無茶な」

「レイを助け出すために出来るだけの事をする。そう決めたんだ」

反論を許さないシアナの強い口調に、アツキは黙って頷いた。セティを背から下ろし、暗闇の中レイを探す。

「……あれ?」

シアナが下ろした場所にレイはいなかった。二人は慌てて暗がりを見回す。

「レイ? おいどこに」

ゆら、と白い影が扉へと近付いた。


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