FAKE‐LAKE
思い付いたのは、たった一言。

ニールみたいにもっと上手に言葉を操れたらいいのに。

アンジェは自分に溜息をつき、深く俯いたレイの頭をそっと撫でた。

「……っ、……」

レイの小さな手がアンジェの服を掴む。

親が小さい子にするように、アンジェは震えている背中をぽんぽんと優しく叩いた。



レイは泣いた。

初めて、声を上げて泣いた。

今まで耐えてきた言葉に出来ない程の苦しみや、堪えてきた悲しみ。

口に出来なかった様々な思いや抑えてきた怒り。

その全てを吐き出すかのように、大声で泣いた。

アンジェの何気ない一言が、心を縛り付けていた重たい鎖を断ち切ってくれたような、そんな気がした。


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