『naturally』
商業、貿易が盛んな活気ある国。


マーセル国。


小国ながら、この国との繋がりを欲しがる国は沢山ある。



マーセル国の隣国。
クロチェ国。


歴史と伝統を重んじる閉鎖的な古い国として有名だ。


このクロチェ国王家の四女ミリザ姫が、マーセル国で三日間開かれるという多国交流舞踏会に招かれたことからこの話は始まる。



マーセル国の中心都市にあるマーセル城内の客室棟。
来賓専用の部屋が固められた建物の中の一室にミリザ姫もいた。




「シェナ。あなたも疲れたでしょ? 私も休むから引き上げて頂戴」


部屋着のシンプルなドレスに着替えたミリザ姫が、部屋のドアの前に立つ親兵にこう告げて扉を閉めた。


クロチェ国親衛隊の制服を着たミリザ姫付きの親兵シェナは、閉ざされたドアに一礼をして身を翻した。


マーセル国の舞踏会招待客にはマーセル国からの迎えがあり、基本的には親兵はつけないことになっている。


くっついてくるのはせいぜいお付きの侍女くらい。


そんな中、ミリザ姫の希望で特別に付き添うことになったのが親兵シェナだった。


十七歳になる姫と歳も近いシェナに、ミリザ姫は特別な信頼を置いている。

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