『naturally』
長く伸ばされた栗色の髪を高い位置で束ね、腰に携えた剣が親兵としては華奢な体つきを引き立てる。


端正で中性的な顔立ち。


一見、親兵には向かないようなシェナにミリザ姫が一目置いているのには訳があった。





ミリザ姫の護衛から解放されたシェナがだだっ広く長い客室棟の廊下を抜け、更に広い庭に出てくる。



他に人影もなく、シェナがさっきから変わらない無表情でただぼんやりと暮れる夕焼け空を見上げていた時だった。



「おいっ。 そこの長髪の剣士」



ぶっきらぼうな呼び声に呼ばれ、半ば睨みつけるような目つきをしたシェナが勢い良くそちらに振り返る。


そこに立っていたのは剣を片手に、やたら楽しそうな笑顔を浮かべた長身の若い男だった。


見るからに城内に似つかわしくない物騒な出で立ちの男は、ゆっくりとした歩みでシェナの方へと近づいてくる。


明らかに好戦的なムードの男にシェナの手は自然と剣に伸ばされていた。


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