音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
へぇー、あたしに見舞品……見舞品……



「って、こんなの貰っていいの?」


「いいよ、まおは入院しているんだから。
それにあたしたちはお見舞いに来たんだから、貰って」


優ちゃんの穏やかな声が聞こえた。


「いいの?」


「どうぞ」



入院してお見舞いを貰うのって初めてかも。


昔は小さかったから誰もお見舞いにすら来てくれなかった。


来てくれたとしてもいっくん位だったけど……
あの頃は二人とも小さかったからこんなやり取りしなかった。


ガサガサ袋の中身を開けてみた。


「プリンにゼリーもある!
ありがとう。
あたしこのゼリー好きなんだ。
よく知っていたね」


3つに連なってパキンッと割ってバラバラにするゼリー。
どれも味が違って『ストロベリー』 『グレープ』 『オレンジ』の3種類。


それにただのゼリーではなかった。


「ドラえもんゼリーじゃん」








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