音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「お腹減っているの?」


学校でもお菓子を食べないいっくんがこんな時間に物を食べるなんておかしい。


「朝飯食っている時間無かったんだわ。
だからやっと食えるよ」


9時って時間指定したのはいっくんだけど、まさか寝坊でもしたのかな?


昨日もバイトみたいだったし……


なんだか映画に連れてきて貰ったの、悪い気がするな。



「ごめんね、忙しいのにわざわざ……」


「まおが謝る事じゃねぇよ。
ただ昨日は、バイト終わった後に先輩たちにちょっと付き合わされていたから帰ってくるのが遅くなっただけだ」


「明日にすればよかったね“映画”」



そうすればいっくんだって時間に余裕があったはずだ。
明日にしたって火曜日、1日ゆっくり休むことが出来るからそうすればよかった。



「まおが“明日がいい!”って言っても俺が無理矢理今日にしたかも。
今日映画見たら、明日と明後日はゆっくり出来るだろ?

だからまおは何も気にするな」






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