音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
どうして考えている事がすぐに分かってしまうんだろう。
声に出していないんだけどな。



「まお、ホットドッグ食いたかった?
もう、一口位しか残っていないんだけど……」


「ううん、要らない。
いっくん、お腹減っているでしょ?
全部食べなよ」


あたしにはフライドポテトがあるから要らない。


それにミルクティーだってあるもん。



「フライドポテトとミルクティーっていくらだった?
お金返すよ」


「金は要らない。
今日は俺がまおの為に連れてきたんだから」


「でも……」


いくらあたしの為だと言っても。
チケット代、紅茶、フライドポテト。


これだけでも結構金額が大きいと思うんだけど。



「気にするなって。

……… だったらフライドポテトちょっとちょうだい」


「まだ、食べるの!」


さっきホットドッグ食べたばかりじゃん。
フライドポテトなんか半分以上残っているよ。







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