音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
美味しかったな。
口の中でプルプルっとしたら、あっという間に溶ける……



「いっくんも食べれば良かったのに」


カランカランっとアイスティーの氷を突っついた。


「俺は要らない。
それに俺に“ミルクプリン”は似合わないだろ?」


よく分からないけど……
食べ物に似合うも似合わないも無いと思うんだけど。


いっくんって甘い物って嫌いだったけ?


特に好き嫌いは無かったはずだよ。



「まおさあー、1年間で結構髪が伸びたな?」


「うん、まあね。
最後にバッサリ切ったのは、高校入学の時だったからね」


高校の入学時は長かった髪を一気に切り、肩につくかつかないか位まで切ったのだ。


「ふーん、そうなんだ」


自分から聞いてきたくせにあっさりと返すのはいっくんだ。


なんかもっと無いかな?
『長い方が似合う』とか『短い方が似合う』とか何か無いのかな?


でも、いっくんは『似合う』とか絶対言わなそう。






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