音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「もう耳は痛くないか?」


「痛くないよ!」



いっくんがくれたアメをなめていたら良くなっちゃっんだよね。


少し静かな所で休んだりしたからかな?



「良かった。
あの時はマジ焦ったんだからな」


「いっくんでも焦るの!」


「バカッ。
俺だって焦るっつーの」


いっくんが焦るねー。
普段はのんびり……
ダラダラしているような感じだけど、どこか余裕っぽい感じなのに。


焦ったの!?


一体、どこでどう焦ったの?



「まおさ、ゲーセンから出てからほっとんど“声”を出さなかったろ?
ただ首を振るか、裾を強く握るだけで……

マジヤバイと思った」


あたし…… そんなに喋っていなかった?


普通に声を出していたと思っていたんだけどな。



「普段ウルサイ位のまおが喋らないって言うのは大事だからな」


ウルサイって……
そんなウルサイ位、喋っていないもん。






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