音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「愛川、部室に……」


「行かないからっ!」


うっわー。
優ちゃんがマジで怒っている。


こんなにも優ちゃんを怒らすなんて…… 陽太くんは何をやったのかな?


「まお、教室行くよっ」


「は、はいっ」


生徒の波を掻き分けて優ちゃんはさっさっと教室へ向かって歩いていってしまう。


いつもは4人でいくのにな。


「優ちゃん!」


何があったの?
あの優しい陽太くんが優ちゃんを怒らすなんて…… 信じられない。


「陽太くんと何があったの?」


こんな状態が続くのイヤだよ。


前みたいに…… 仲直り、して?


「ゴメンね、まお。 心配かけて」


「ううん、大丈夫だよ。
でも…… どうしたの?」


優ちゃんがちょっと悲しそうな顔した。


そんな顔、しないでよ……


優ちゃんと陽太くんは中学も一緒だから、クラスが違った1年の頃から仲良しだったもんね。





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