音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「あたしがただ、バカなだけだよ」


「そうなの?」


「そーなの」


違う…… 本当はもっと、違うんじゃない?


「陽太くん話さないの?」


「今は話さない」


これは、しばらく優ちゃんが怒っていそうだな。
SHRが終わったら陽太くんに二人のケンカの原因でも、聞いてみよっ。


優ちゃんは教室に着いてからはずーっと席について、正面の黒板を眺めているだけで。


ちょっと、一人にさせてあげよ。


あっ! 部室から陽太くんが戻ってきた。


「陽太くん……」


「まおちゃん」


あたしと陽太くんは席が隣同士。


カバンを横に掛けた陽太くんに早速聞いてみた。


「優ちゃんとどうしたの?」


「愛川とな……」


そんな、二人して……
どうして悲しそうな顔するの?


そんな顔しちゃ…… イヤだよ。





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