音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
20分ね、20分……


「いっくん!」


「俺さ、まおが思っている程スゴイ人間じゃねーよ」


ちょっと! 今からあたしが話始めようとしていたんだけど。


どーして、勝手に話始めるの!



「男なのにスゲー怖がりだし」


「えっ! 全然“怖がり”だなんて思えないよ。
だって暗いとこだってお化けだって怖くないじゃん」


「そういう“怖がり”じゃねーよ」


呆れるようにあたしを見下ろして笑った。


ん? 違うのか。



「ずっと片想いしているくせに肝心な“好き”って言葉一つ、言えねー情けないやつ」


「………」


あっ、そっちの方か。

いっくんは今からなんて言うの?



「“好き”って言って、“ごめんなさい”って言われたら、俺…… 立ち直れねーよ」


そんなに…… そんなに思うまで、想ってくれているの?





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