恋 理~renri~
溜め息をついていても仕方がナイ…、もう一度小さな身体を揺すぶった。
「亜実~、起きないと保育園遅れるよぉ?」
「…うぅ、ん…!」
だけれど不機嫌極まりない返答に、どうしても私の微笑みは薄れていく。
そりゃあ優しいお姉さまだし?、2度目までは優しく起こしているけれど。
“仏の顔も三度まで”って、言うじゃない…?
この諺(ことわざ)にあやかって次に発する声色は、パキッと変わってしまう。
「亜実・・・
いい加減にしないと、今日のお弁当は無しよ!?」
それまでグダグダしていた亜実は、ガバッと布団から這い出てきた。
「…やだぁ~!
真咲ちゃん、ごめんなさい!」
お弁当の言葉ですっかり覚醒した亜実は、私の顔をしっかり捉えて謝っている。
「うん、分かればよろしい。
ご飯も出来てるから、早く準備してね!」
申し訳無さそうな表情にニッコリと微笑むと、自然と声のトーンも元に戻ってしまう。
「うんっ!」
彼女もまた頷きながらベッドから下りて、バスルームへと向かっていく亜実。
トコトコ走る姿が可愛くって、ふふっと笑みが零れてしまう。