other contract

other contract -mark 5- 金司目線




あの出来事から一週間経った今。
俺は倒れたりする事も無く、快適に過ごしていた。

「‥何でや」
「何でだろうねぇ?」
「俺に訊くなっ!!」

放課後、校内のカフェで俺たちは疑問を浮かべていた。
血を貰ってから一週間経ったってのに、倒れたりしない俺。
いつもなら、そろそろ目眩や立ち眩みがしてもいい頃なんやけど‥‥

元気、いいんや。

「ねぇ、金ちゃんってさ“契約”の事知ってる?」
「ああ、なんとなくやけど」
「我を失った時、華ちゃんからどういう風に血を与えられたか覚えてる?」
「我失ってんだから、覚えてる筈ねぇだろ」
「ああ、全く覚えとらへんわ」
「‥なるほどね」

葵は、何か感ずいた様子。
紅は‥‥。

「おい、脱げ」

と、言ってきおった。
って‥‥

「は?」
「ええ!?先輩‥、もっと他の言い方っ!!」
「ああ?どうでもいいだろ。ぅおら、さっさと自分の胸元見てみろっ!!」

そう言われて、俺はしぶしぶとシャツのボタンを2、3個外して胸元を見る。
葵と紅は、ぶつぶつと何かを語りだす。
そういやあの出来事の後から、何か知らんのやけど

胸に小さな薔薇の様な模様があるんよなぁ‥。
タトゥーみたいなやつや。

「‥別に、何もあらへんで」
「本当に?」
「ああ、ホンマ」
「何か模様みてぇなのねぇのかよ?」
「例えば薔薇みたいなのとかさ」
「ああ、あるで」

そういうと、二人は石の様に見事に固まった。

「‥‥あんのか?」
「‥‥あるの?」
「あ、あるで?」

これやろ?
と、シャツを退かしてそこを見せた。
すると、葵も、紅も頭を抱えるポーズ。

‥‥なんや、二人して。
考える人の真似っ子かいな。

「それ、出来たのいつだ?」
「ああ、我を失った日やろな」
「って事は、相手は‥華ちゃん?」
「だろうがよ。アイツ、“特別”だったんだな」

何や?
何の話や?
そう言って二人を交互に見れば、二人は俺の顔を見てため息を付いた。

二人が言うには、俺は知らずのうちに“特別”な存在と“契約”をしているらしい。
そしてどうやら相手は、華やろうという事。

え、俺‥いつ華とチューしたねん。
まぁったく、‥‥記憶あらへんのやけど。

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