other contract

other contract -mark 7- 華目線




不意に口から出た名前は、とても懐かしみを持ったものだった。

彼に一番最初の時に血を与えようと思ったのは、何か放っておけなくて。
放ったら、いけない気がしたから。

彼に心が惹かれていたのは



ずっと昔に会っていたから。
ずっと忘れていたけれど、





ずっと好きだったから。





今、思い出した。
私にはとても大切な人がいて、その人は私をとても大切にしてくれていた事。

「志黄」

もう一度そう呼べば、金司さん‥
いや、志黄は驚いた表情でこちらを伺った。

「お、お前‥‥俺の事分かるんか?」
「うん‥、分かる」

私は返事を返して、腕を志黄の背中に回した。

「どれだけ、会いたかったか」
「‥‥」
「どれだけ、寂しい思いをしたか」
「‥‥」
「好き。もう、ずっと傍にいて‥‥?」
「‥‥華」

志黄は私の“今”の名前を呼んで、そっと腕を下ろす。
そして私の腕を優しく掴んで、下ろさせた。

「‥志黄?」

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