狂愛~狂うほどに君を~
『リリィ・・・リリィ・・・』
暗闇の中、響いてくる男の子の声。
『リリィ、気づいてよう。僕に気づいてよ・・』
『リリィって誰なの・・・』
混濁した意識の中、声の元を辿る。
なんとなく知っている気がする、声。
『こっちだよ、リリィ』
『私はリリィじゃないよ』
『リリィだよ。僕の大切なご主人様のリリィだよ』
リリィじゃない、ゆずなの・・・頭はそう思っているのに
心がざわつくゆず。
リリィという名称に、覚えがある。
『私は、ゆずなの』
出来れば、何も知っていたくない。
そう思ってしまった。
私はゆず、ゆずだよ。と自分で自分に言い聞かせる。
『ゆずなの?ゆず・・それもかわいいね!さすが僕のご主人様!』
暗闇の中、声を目指して歩いていれば青色の光がみえてきた。
懐かしい。
懐かしい光だ。