企画小説
バタバタバタバタ!
「まったく、嫁に行くというのに落ち着きのない娘だ」
「いいのっ!きゃーー!!淡岩、車車っ早く」
「もう用意出来てますよ」
「マジで?!じゃあいってきまーす」
「父さんたちも、もう少ししたら行くからなー」
「はいはいはーいっ」
慌ただしく出て行く「浬津」。
今日は、とてもとても大切な日。
あの、東苑堂寺家に引き取られて行く日に約束した“許婚”という不安定な約束がやっと、ホンモノになる日。
浬津は、結婚する。
相手は勿論―――
「麻津裏!!」
「浬津っ!遅い!花嫁は、式場に4時間前には入ってなきゃいけないの知ってるだろ?!」
(↑本当です)
「知ってる!ごめんて!!」
「お嫁様、さぁこちらへ!」
――なぁんて、かなりせわしなく準備して、
「…汝、優喜麻津裏は妻、東苑堂寺浬津を愛することを誓いますか?」
「誓います」
「では、汝、東苑堂寺浬津は夫、優喜麻津裏を愛することを誓いますか?」
「誓います!」
麻津名のときに、初めて麻津裏に恋をして、恋人になって
浬津になってから、ずっと喧嘩してデートして…
今日、恋人から夫婦になり、
東苑堂寺からまた、優喜になる。
…これが、私の初恋だったんだ。
「結婚初夜は覚悟しとけよ?浬津」
「えぇっ?!///」
・おしまい・
(次頁後書き→)