企画小説
――――次の日。
2月14日・聖バレンタインデー
「……」
本当なら、今日は雄作とデートの約束をしていた。
11時に雄作が迎えに来てくれる。って約束。
あんな別れ方しちゃったし、もしかしたら来てくれないかもな…って、思いながらもしっかりチョコは作った。
今は、10時50分。
もうそろそろ、いつもの雄作なら着てもいい頃なんだけど…
ピーンポーン。
「!!」
「玲奈ー、雄作くん来たわよー」
「今いくっ!!」
来た!雄作来てくれた!
急いで、玄関まで行って忘れずにチョコも持って…
「雄作っ!!」
「おはよ、玲奈」
いつもの顔で言ってくれる雄作を見て、ほっと安心した。
と、思ったのも束の間だった。
外に出た途端に、雄作は顔をしかめて私を見た。
「昨日、俺が呼び止めるのも無視してお前帰ったな」
いつもと違う、冷酷な瞳。
冷たい喋り方。
「ごっ…ごめんなさ…」
「謝罪なんか聞きたいんじゃない」
「でもっ……」
「チョコ。」
「え?」
雄作の唐突な発言に私は、驚いた声をあげた。
「チョコ、ないの?」
「いや…あるけど……」
「じゃあ、頂戴よ」
「うん…」
そういってカバンから取り出してチョコを渡そうとしたが、このタイミングで渡すのはマズイと思ったのだ。
なにせ、懲りずに、チョコに媚薬を混ぜたのだから。
はい。と渡すも凄くジーッと見る。
その視線で、雄作は気付いた。
「いただきます」
「はーい……」
ヤバイヤバイ、と思いながら玲奈が見ていると急に視界が暗くなった。
…と、同時に口に何か当たって中に何か入ってきて驚いて飲み込んでしまった。