企画小説
「――ん、では開いていきましょうか」
「はい…あの、順番あるんですか?」
「いや、ないですよ」
「じゃあ、ここ開きたいんですけど…」
「え?」
占いの結果を見る準備も整ったと思ったら、彼女が開きたいと言ったのは1番上…
つまり、結果だった。
「構いませんが……結果ですよ?いきなりいいんですか?」
「いいです。そこを1番に開きたいと思ったんですから」
「じゃあ―――」
ヒラッ。
上下逆さまにならないように、伏せられたカードを開く。
「!!」
「死神…ですね」
そう。カードはあろうことか死神だった。
“13 DEATH” 正位置
逆位置なら、まだよかったかもしれないが、俺のタロット占いでは上下逆さまは関係ないんだ。
どちらにせよ、死神で正位置だった。
……結果が悪すぎる。
「…占い師さん?」
「あ」
俺は、ハッとした。
客の前では絶対に悪い結果のときに、表情で悟られてはいけないのに。
「…顔をしかめてます。そんなに悪い結果なんですか?」
「……」
「死神見ちゃったんですから、隠せませんよ」
「…っ、死神は“終わり・切れる”という意味を持っています。」
「え…」