企画小説

「アンタ天美津の生徒だろ?!つーことは、卒業生なら吉岡!吉岡友紀か!!ゲイ!」


俺は満足に鼻高だかにしていた。
彼女を見ると心底驚いた顔をしていた。

「え…知ってるの?」

「ああ!有名だからな!」

「……そうなんだ」



…あれ?違う。
何でこの子が俺を知ってるかが重要だよな。


「んーと、お客さん…何で俺のこと知ってるの?」

「え?あぁ…いつも見てましたから」

「は?」



彼女が言うには、よく天美津の近くで俺を見ていたらしい。
(まぁ、帰り道だしな)
で、いつも同じ時間に帰る俺を眺めてたら、友達が俺のことを教えたらしい……つーか、

「友達って、誰だ」

「青井桜ちゃん」

「!!さーくーらー…」


(※青井桜は、奈緒香の漫画の作品:猫神様に出てきます。リア友は知ってるかも)


「ごめんね、勝手に聞いちゃって」

「いや、構わないけどさーくーらー…」

「あははっ、面白いね。凜擾くん」


―――どきっ。

いやいやいや、ちょいまて。
なんだ、どきって。
なんだよーっ!!


一人悶々としてると、不思議がられた。

「……ま、潔く振られてきましょうかね」

「おっ、やる気出た??」

「はい!凜擾くん見てたら元気貰いました!!」

「そっか!…報告よろしくなっ」

「はい!!」



向けられた笑顔はとても可愛くて、清々しく…
だけど、


――何処か悲しげだった。

< 38 / 49 >

この作品をシェア

pagetop