りんごゆき

バイバイ、私たちの思い出の場所。

忘れないよ。

ありがとう。



商店街の横道の階段の下から、私は秘密基地を見上げ左手をかざした。



空は必要以上に青く澄んでいて。

風が大分涼しかった。

そろそろコートが必要になる頃だった。







秘密基地を覆っていた灰色の幕が外されたのは、それから2年半後だ。



私たちは突如現れた大きい綺麗なビルを見上げた。



そこはもう小高い丘でもなんでもなかった。



そして、私はもうおばさんに会うことはできないんだって気付いたんだ。

< 106 / 204 >

この作品をシェア

pagetop