うちの所長知りませんか?
な、な、なんて、狡猾なやり方だろう……だれだろう、こんな変人を生徒会長にしたのは。

彼が見せている余裕の態度は、ただの緩みじゃない。確実に僕を手玉に取れるという、絶対の自信が表れているんだ。

「先輩……?」

と、真美ちゃんが見つめてくる。彼が取り引きに持ち出してる水晶玉を割った張本人だけに、責任を感じてるんだろう。

かわいい後輩です。

大丈夫だよと、頭をまたなでなで。

僕は決意した。

「わかりましたよ。僕、入ります、推理研究会。それでいいんですね?」

途端、場に流れていた空気が和らいだ。

「いやぁ、話がわかるねぇ、占い研の〝女帝〟は! 大歓迎だよ、うん!! よろしくね、はははっ!」

手を握り、ブンブンと振り回してくる彼に、僕は苦笑しかできなかった。

「でも僕、アナタを含めあんな変人だらけの部でうまくやれるかわかりませんよ?」

すると彼は、大丈夫大丈夫と、僕の頭を撫でた。

「自分のことを『僕』なんて言ってる女の子も、充分変人だからね、すぐに馴染めるさ!!」

「なっ!」

彼の手を払い除け、ほっといてくれ、と僕は全力で叫んだ。

その時、カードが手から飛んでいく。

床に落ちたそれは、〝女帝〟。

僕に当てられた二つ名だった。
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