残響*Impression
「あっ、やっぱ待って!!マウス拭く…から」


「ブーッ…ププ…」


自分好みの顔にドキドキしてしまい、マウスを拭かずに差し出してしまった事に気付いたが…既に手遅れ。


不快な音を醸し出していた。


「ふうっ…なかなか上手くいかないものだね」


「あははっ!!お兄さん、下手すぎっ!!」


「っるさいなぁ…でも、やっと笑ったね」


一瞬、不機嫌そうな表情を浮かべてから、再び笑って言われた一言。


「え…?」


思いがけない一言に目を丸くしたアタシ。


「話しかける前にさ、横から見てたんだ。俺んち、すぐ近くでさ、トランペットの音色がしたから来て見たら…君の悲しそうな横顔が見えた…」


「べっ、別に悲しくなんかないっ」


「そう?」


目を反らさずに言う貴方に、アタシは心の中を見透かされたようで顔を背けた。

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