Is this a Fiction?

ラウンジやBarのスタッフが店に買物に来る事はめずらしくなかった。

ただ、ママが今までに顔を出した事は一度もなかった。

ラウンジとは言え、チャームはそれなりの物を出していたし、おでんや味噌汁等も用意している事は作っていた俺がよく知っている。

だからこそ、寧ろ今まで来た事がなかった事に、

「もしかしてわだかまりがあるのだろうか?」と感じていた。

「お久しぶりです」

「元気そうにしてるねえ」

「みんな元気ですか?」

取り留めもない会話。

用があって来たのならすぐにでも切り出すタイプのママだが、特に何を言う訳でもなく。

「チーフまた飲みに行こうよ、歌唄いにでもいいし」

トモヨも相変わらずお気楽そうである。

買物等、店の近くのスーパーで普段は済ましてるであろう。

ただ、普段と別段変わった気配もない二人に、あまり気を揉む事もないだろうと

俺は何をしにわざわざ来たのかは敢えて聞かなかった。


何を買いに来たのかも......



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