Is this a Fiction?

たわいない会話を交わし、二人は手を振って車へ乗り込んだ。

俺もまた、手を振りながらそれを見送り、そしてまたやりかけた作業に戻った。

久しく見なかった顔だったが、どこかに行ったついでに俺の顔でも見に来たんだろう、と

「気にかけてくれてるのかな?」

等と考えたりしながら。


もともと関わりは薄らと続いていたものの、頻繁に行き来する程でもなかったのだが、

俺が二人の姿を見たのはそれが最後だった。

厳密には......
対峙し、会話を交わした最後である。

何故その日わざわざ俺の勤めるスーパーへ買物に来たのか。

もう一度その事を強く疑問に抱くのは、それから数日経った日の事である。

ほんの数日だった。

その疑問はまたも説かれる事はない。



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