LAST contract【吸血鬼物語最終章】
LAST contract -mark 1- 葵目線
パンッと乾いた音が部屋に響いた。
それと同時に感じる、ピリピリとした痛み。
ああ、頬を叩かれたんだ。と気づくのに、少し時間が掛った。
「‥っ、アオちゃんの、バカァ!!」
僕に向かってそう怒鳴ったスミレは、ズンズンと扉に向かう。
そしてバタンッという激しく扉が閉まる音と共に、この部屋から姿を消した。
僕は叩かれた頬を擦りながら、その後ろ姿を追いかけようと立ち上がった。
ったく、叩く事なんてないじゃない。
と、スミレに怒鳴り返す事もしなかったのは、嬉しいという感情の方が大きかったから。
スミレが僕に怒った理由は、分かっている。
きっと、さっきの出来事が原因だろう。