LAST contract【吸血鬼物語最終章】
冷たい空気で満たされた廊下。
僕は顔が隠れる程の書類を持って、よろよろと歩いていた。
前がしっかり見えない状態だったものだから。
曲がり角で人を避ける事が出来ずに、打つかってしまった。
バラバラと宙に舞う、紙たち。
体に感じる、重み。
「あっ、すみません‥」
倒れた拍子に僕の上に乗る体制になったその子は、顔を赤くして言った。
はははっ、可愛い子。
でも、‥‥スミレには負けるけど。
「いいよ。怪我無い?」
「は、はい」
そう言う彼女の向こうに、スミレが見えた。
や、ヤバい。こっちに気づいたっ!!
「あ、あのさ、早く退いてくれないかな?」
し、心拍数が、どんどん上がってるのが分かる。
てか、スミレ、すんごい顔してこっちを睨んできてるんですけどっ!!
こ、怖い‥。
「ごめんなさい、‥きゃッ!!」
「え‥、ん」
‥‥は、はい?
思考停止。
ちょ、ちょっと待って。
今、何が起きました?
この子が体制変えた時に、誤って僕に倒れ掛かってきて‥‥。
‥‥そ、それで