LAST contract【吸血鬼物語最終章】

LAST contract -mark 2-  菫目線




アオちゃんを一発叩いて、ボクはズンズンと寒い廊下を突き進んでいた。
行き場所はもう決まっている。
というより、足が勝手にそこを目指していた。

今日は夜に雪が降るらしいから、それなりに空気は酷く冷たくなっていた。
だから、こんな時に屋上ってのはどうかと思ったけど‥‥

「っわ、寒ッ!!」

廊下でも十分に寒いのに、外は廊下の何倍も寒かった。
それでも、ここに来ると落ち着くのは何の変りも無くて。

「‥はぁ」

大きく吐いた溜め息は、白くなって周りの空気に溶けた。
ボクがアオちゃんを叩いたのは、ただの勢い。
悪い事したなぁ、とは思ってるけど。
アオちゃんはいつもなら自分にとって都合の良い事言って、その場を何とか紛らわせようとしたりするのに。



なのに、今日はそんな事しなかった。



それが逆にボクの不安を駆り立てた。

それに、ずっとボクに何も話しかけてこなかったし。
だから、



もしかしてあの子の事‥‥


って、思ってしまって。

そう思ったら、何とも言えない気持ちになって。
何も言ってくれないアオちゃんにイライラした。
でも、一番イライラしたのはそう思ってしまった自分にで。

それで‥、いつの間にかアオちゃんに手を出してしまって。

「はぁぁ‥」

何やってんだろ。
ボク、最低じゃん。

金網に手を掛けて、街の風景をジッと見る。
不意に北風を感じて、身震いをした。
やっぱり、年を越したばかりのこの季節は寒いや。

こういう時は、体動かして温まるのが一番だねっ!
‥‥あんまり、気分乗らないけど。

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