LAST contract【吸血鬼物語最終章】
金ちゃんと華ちゃんが帰った時には、日が沈み始めていた。
オレンジ色に染まる空。
ゆっくりと変わっていく景色を見つめる僕の瞳も、きっとオレンジ色に染まっているのだろう。
桃は十分回復したようで、夕飯の準備をしていた。
先輩はリビングのソファーで眠っている。
僕は寝室で眠っているスミレの寝顔を見つめていた。
「‥スミレ」
返事が無い事は分かっているのに、お前の名前が口からこぼれる。
布団から出ているその手が目について、そっと握った。
「温かい、ね」
お前が怪我したのは、僕のせい。
先輩も、桃も。
これから先、またああいう事が起きたら‥
今度は殺してしまうかもしれない。
だから、お前の傍に僕がいてはいけないんだ。
危険すぎるんだ。
“契約”している“特別”な人が死んだら、相手の吸血鬼も死ぬ事になる。
でも、“契約”している吸血鬼が死んでも、相手の“特別”な人には害は無い。
ただ、胸にある“契約の印”が消えるだけ。
その吸血鬼が消えるだけ。