LAST contract【吸血鬼物語最終章】
もしかして、こんな事を訊く為にボクを探していた?
視線を彼女から前に戻して、足を進めようとした時だった。
今、イヤな感じがした理由。
それは‥‥
「なら、貴方は邪魔よ」
背中に何かが当たったと感じた後、体が宙に浮いた。
体の所々に走る、鈍い痛み。
落ちる感覚。
視界に入った彼女は、前に手を突き出していた。
これで、何が起きたか一瞬にして理解した。
踊り場に倒れこんだその時、頭を強打して‥‥
「っ、う‥」
なんだろう。
何、か‥‥。
「スミレっ!!」
誰かが、ボクに駆け寄ってきた。
その人はボクの前にしゃがみ込むと、大丈夫?と心底心配そうに訪ねてきた。
そして、慌ててこっちに駆け寄ってくる女の子を見た。
「‥ぁ、君」
「大丈夫!?足を滑らせて落ちたのよ」
「そうなの?スミレ、何処か痛いところは!?」
‥‥落ち、た?
痛いところ?
そんな事より、ボク、知らない。
「此処、何処なの?」
「‥え?」
貴方、誰?