LAST contract【吸血鬼物語最終章】
「‥‥スミレ‥」
僕は、溺れている。
「‥スミレ」
お前に溺れて、もう‥
「スミレ」
沈んでいくばかり。
上昇する事なんて、無理だろうし、考えてもいない。
僕は最後の瞬間まで溺れていたいと思うから。
「‥スミレ」
「何?」
するはずのない声が耳に届いたのと同時に、ふわりと首に回される腕。
一瞬、頭が真っ白になった。
後ろから抱きついてきたのは‥‥
「アオちゃん」
紛れも無く、スミレだった。